飯田さんが劇場版「ペルソナ3」に関わられたのは、やはりTVアニメ「ペルソナ4」がきっかけになるのでしょうか?
そうですね。TVアニメ「ペルソナ4」でも音響監督という形で関わらせていただいて、その流れで本作もという感じです。
そのTVアニメと劇場版では作り方のようなものは変わるものなのでしょうか?
テレビの場合、多くのお客さんは「食事をしながら」「携帯をいじりながら」といった風に、何かをしながら視聴するということが多いもの。そこで、音楽の切り替えを多めにすることで、お客さんの意識をテレビに戻すという工夫をしています。逆に映画の場合は劇場でじっくり集中してみるので、音楽は少なめにして、ここぞというところで効果的に流します。第1章は、このセオリーに乗っ取って、劇伴を切り替える回数をひかえていたりしたのですが、第2章からは劇伴も場面転換に合わせてバンバン変えるという作り方に変えています。というのも、『ペルソナ3』という作品は、登場人物たちがそれぞれ異なる問題を抱えて行動している群像劇なので、消化しなきゃいけないイベントが多いんです。当然展開も早い。だったら曲もバンバン流してジェットコースタームービーにしてしまおうと。
そうした劇伴のほかにも、作品のさまざまな“音”に関わるお仕事とは思いますが、音響監督とはどのような作業を担当されているのでしょうか?
作品の音響に関わる演出をするというのが、音響監督の仕事です。劇中で音楽をどこで流すかといったことを決めたり、キャストを選定したりといったことが主な役割ですね。劇場版「ペルソナ3」はゲームという原作があるので、キャストさんは基本的にゲームと同じ方に演じていただいていますが、ゲームには登場しない生徒Aなどのモブなどは新たにキャスティングする必要があります。また、劇伴ではゲームの音楽も使用していますが、アニメ用にオリジナルの楽曲を発注することもあります。その楽曲発注で、現在絶賛悩んでいるところなのですが……(笑)。
第4章には、それほど音楽の演出が難しいシーンがあるのでしょうか?
第4章の冒頭で、ある重大な事実が告げられ、前半のシーンは主人公の結城 理をはじめ、仲間たちが全員落ち込んでいるんですよ。前述のとおり、8人全員にそれぞれのドラマがあるので、8人8様の落ち込み方で描かれます。同じ落ち込んでいるシーンの連続とはいえ、ずっと同じ曲を流すわけにもいかず、かといって曲を流さないというのもセリフが少ないシーンなので難しい。というところで、どうしようか悩んでいます。また、後半は最終決戦になるので、原作ファンの皆様にも人気も高いあの楽曲たちをどのように使うかというのも課題です。どう解決したのかは、実際に劇場で確かめてみてください(笑)。
ほかにも、楽曲の使い方で苦労されたことなどはありましたか?
劇場版では望月綾時のテーマとして「Mistic」という楽曲を使用しているのですが、第4章のどこでこの曲を使うかは悩みました。というのも、原作だと綾時が重大発言をするシーンは大体この曲が使用されているのですが、第4章では綾時が重大発言をするシーンばっかりなので(笑)。全部「Mistic」にするというわけにはいかないですしね。